インドの伝統医学アーユルヴェーダの質(ドーシャ)の整え方

インドの伝統医学「アーユルヴエーダ」による3つの「質(ドーシャ)」

前屈・後屈・捻転の3つの基本の基本の動きと身体の関係を、深く考えてみましょう。

アーユルヴェーダとは、インドで発違した伝統医学のことで、「生命の科学」ともいわれます。ヨガと同じようにインドの聖典「ヴェーダ」をもとに発展しており、生命観、身体観、宇宙観をヨガと共有している点がポイント。ヨガの身体への影響を考えるときに、アーユルヴェーダの理論を使うと、スムーズに説明できることがとても多いです。

アーユルヴェーダでは、あらゆる3つの質(ドーシャ)に分けられると考えられています。

ヴァータ、ピッタ、カパです。これらはサンスクリット語(古代インドの言葉)で、それぞれ、ヴァータ(Vata)は「動く」、ピッタ(Pitta)は「燃える」、カパ(Kapha)は「まとめる」を意味しています。

3つのドーシャの作用

・ヴァータ「動き」の作用があり、ものを動かし、体内では情報伝達として働く

・ピッタ「変換」の作用があり、ものを燃やし、形を変える。体内でも、熱を作り出し、消化や代謝に関わる

・カパ「構造」の作用があり、ものの骨組みを作る。体内では体力や免疫力に関わる

常にこの3つの質のバランスがとれていることこそ望ましいと考えます。

たとえば、アーユルヴェーダでは人が病気になるのは、この3つの質のうちのどれかが身体に溜まりすぎて過剰になるから、と考えられ、どの質が溜まっているか、溜まりやすいかで、治療法が変わっていくのです。

ヴァータ(Vata)

ヴァータの軽く、冷たく、乾く質が過剰になると、腹部に溜まり、便秘や生理不順、冷え、腰痛などを引き起こすとされます。精神は緊張し、気持ちが落ち着かなくなってしまいます。

熱や体温や消化力に関わる質が過剰になってしまいます。

ピッタ(Pitta)

ピッタの熱く、情熱や消化力や体温に関わる質が過剰になると、消化器系に溜まり、胃腸のトラブルや炎症などを引き起こすとされています。怒りやすくなったり、攻撃的な性格になったりするのもビッタの過剰が原因とされます。

カパ(Kapha)

カパの重く、遅く、粘り気の質が過剰になると、横隔膜から副鼻腔までの部位に溜まり、呼吸器のトラブルや運動不足、食べすぎ、コミュニケーション不足などが起こりやすくなります。意欲は減退し、なにごとにも消極的になると考えられています。

身体の中のバランスをとるために

この3つの質の過剰を解消し、身体の中のバランスをとるために、ヨガの3つの基

本の動きがそれぞれ有効です。

前屈、後屈、捻転の3つの動きは、それぞれ、ヴァータ、カバ、ピッタをととのえます。

ドーシャが過剰になったときに、それを抑え、バランスをとってくれるのです。

身体を丸くしてお腹をあたため、リラックスをもたらしてくれる前屈の動きのポーズは、腹部に溜まった冷たいヴァータの過剰をおだやかにしてくれます。冷えや腰痛などの不調をととのえ、緊張していた精神をなだめる効果があります。

身体を反らせる後屈の動きのポーズは、胸のあたりに重く溜まったカパを解消し、呼吸器系の不全をととのえてくれます。深い呼吸をおこなうことで、気持ちを前向きにする効果もあります。

身体をねじる捻転の動きのポーズは、ウエストや鳩尾(みぞおちあたりに溜まったピッタを解消してくれます。身体をねじることで消化器系に穏やかな刺激を与え、不調をととのえ、イライラした気持ちをなだめてくれるのです。

前屈、後屈、捻転といった動きのヨガのポーズをとるときは、インドで古くから考えられてきたアーユルヴェーダの理論に基づき、効能や部位を意識しながら身体を動かしてみることをおすすめします。